Furyion Games:Unity のケーススタディ
スタジオはどのようにしてあまり費用をかけることなく、またはローンチを遅らせることなく、複雑なゲームプレイのオプションのバランスを取っているのでしょうか?クラウドシミュレーションサービス Unity Game Simulation は、Furyion Games を含めたあらゆる規模のスタジオのゲームバランシングを変革しています。初めて、どのような開発者でも、何百万回ものプレイスルーと同等のものをコスト効率の高い方法で活用し、数週間、数か月ではなく数時間、数日で具体的に活用できる結果が得られます。
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課題
新作ゲームの複雑なゲームプレイのオプションのバランスを、迅速かつ費用対効果の高い方法で調整すること
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プラットフォーム
Windows、OS X、Linux
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プロジェクトのスタッフ
合計 8 人:アーティスト 2 人、リードテスター 1 人、プログラマー 3 人、コミュニティマネージャー 1 人、ライター/ナラティブデザイナー 1 人
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所在地
カナダ、トロント

アクション満載のモンスターやマシンとのバトル
『Death Carnival』は、過激な武器を使用してオンラインで撃ち合う、テンポの速いマルチプレイヤー型のトップダウンシューターです。味気ない合成食料が主食となる未来で、唯一本当に味わえるのは、大勢のモンスターやマシンとのゲームショーバトルで収める勝利の味です。『Death Carnival』では、勝者は祝福を受け、敗者は悲惨な結末を迎え、群衆はどよめきます。プレイヤーは単独でプレイすることも、オンラインの協力モードで 3 人のフレンドと一緒にプレイすることもできます。

『Death Carnival』を開発していたスタジオ Furyion が直面していた最大の課題の 1 つは、プレイヤーが選べる武器のその膨大な数とバリエーションでした。考えられるすべての組み合わせについて、ゲームプレイを楽しいものにするために、Furyion はどのようにしてそれらの武器のバランスが適切に調整されていることを確認できたのでしょうか?武器のソケットシステムをテストして完璧に仕上げるうえで、同スタジオが Unity Game Simulation に目を向けたのは、それが理由でした。

成果
- わずか 3 日間余りで複雑な武器システムのバランスを調整し、テストにかかるコストを 8 万ドル、労力を 600 時間節約
- 1 億 6,500 万回ものプレイスルーに相当するテストをわずか 10 回の効率的なシミュレーションに凝縮
- 繰り返しのタスクを実行するのにかかる時間を減らし、クリエイティブなゲーム要素を完成させるのにより多くの時間をかけた
完璧なゲームを目指して
Furyion の創設者でありスタジオディレクターである Herbert Yung 氏は 4 年以上もの間、『Death Carnival』を素晴らしいゲームに仕上げ、優れたプレイヤー体験をもたらすことに情熱を注いでいました。彼と多くの才能が集まった小さなチームを突き動かしていたのは何であったのでしょうか?
「ゲームのほぼすべての要素に当てはまることですが、それが音楽、メカニクス、グラフィックス、コントロールの何であっても、取り組む際には、『これでプレイヤーに自分が圧倒的な強敵に立ち向かっている強力なヒーローであるように感じてもらえるだろうか?』と自分に問いかけます。それこそが私たちの作品に影響を与える精神であり、競争の激しいゲーム制作の世界に参入するインディー開発者としての私たち自身の課題に似ていると考えています。」

複雑な武器類のバランスを調整するにはかなりのリソースが割かれる
『Death Carnival』には、手の込んだ武器のソケットシステムや、弾の拡散範囲や速度などの幅広い武器パラメーターが備わっているため、ひどいバランス崩壊を防ぐうえで難題をもたらしました。Yung 氏はこのように言っています。「私たちは常にすべての武器のバランスを手動で調整してきました。新しい武器を作成するときは、その武器のアートワークとゲームプレイのメカニクスを実装し、それをコンパイルしてテストプレイヤーに渡し、バグ修正を行い、再調整を加え、再度テストプレイヤーに戻すことの繰り返しでした。時間のかかるプロセスでしたが、質の高いゲーム体験を制作するうえで避けられないものとして受け入れていました。」
『Death Carnival』の武器が良好なゲームバランスに到達するには、通常 5 回のイテレーションが必要でした。各イテレーションにかかる時間は、平均してこれくらいでした。
- クライアントのビルドとアップロードに 1 時間
- リアルタイムでの観察とフィードバックの収集に 4 時間
- 武器の微調整と開発者によるテストに 1 時間
基本の 20 の武器については、武器に大きな変更がないと仮定すると、合計でテストに 600 時間かかります。何らかの変更が発生すると、その時間は大幅に増加しました。最低時給で計算しても、そのコストはかなりのものでした。「同程度の量のテストにサードパーティのサービスを活用するとなると、そのコストは膨大なものになるでしょう」と Yung 氏は付け加えています。

クラウドシミュレーションによる何百万回ものプレイスルー
Furyion は創業以来ずっと Unity を使っており、HD レンダーパイプライン(HDRP)、Remote Config、ポストプロセッシングスタック、アセットストアなどの Unity のツールを上手く活用しています。Unity がゲームシミュレーションソリューションを制作していたことを知ったとき、チームはクラウド上で何百万回のプレイスルーをシミュレートできるその機能をすぐに採用しました。Unity の Game Simulation SDK を統合した後、パラメーター(弾の拡散、弾のスピードなど)を設定し、メトリック(武器が与えるダメージなど)を組み込むことで、Furyion はゲームを Unity の Game Simulation ダッシュボードにアップロードして実験を行い、結果をダウンロードしました。
リアルなデータを生成するために、本物のプレイヤーと似た行動を取るプレイヤーボットが含まれる単純なシミュレーションから開始しました。ベースシミュレーションとして 3 つの異なる武器で実行し、各武器につき Furyion は生存率(プレイヤーが死んだ回数)とレベルのクリア時間を追跡しました。ボットは先に進む前にすべての敵を倒すよう設計されていたため、レベルのクリア時間は、各武器の潜在的なダメージ出力を特定するのに役立ちました。
次に、Furiyon は大量のシミュレーションを実行して、ベースの武器、弾薬、武器のモジュール、パワーアップを含め、考えられるすべての武器の組み合わせを評価しました。その組み合わせを検索し、すべての結果をヒートマップとして視覚化してみると、Furyion は 1 セットのシミュレーションから次への進歩をすぐに確認できました。各武器コンポーネントの複数の変数を微調整した後に、生存率とレベルのクリア時間のバランスを調整できました。

バランス調整にかける時間を短くし、ゲームに磨きをかけるのにより多くの時間をかける
Unity Game Simulation により、Furyion は 1 億 6,500 万回と同等のプレイ回数をわずか 10 回の効率的なシミュレーションに凝縮し、武器システムのバランス調整をわずか 3 日余りで終わらせることができました。ツールのおかげで、コストを 80,000 ドル以上、開発時間を 600 時間以上短縮できたと見積もっています。その時間は、以前は武器のパフォーマンスのバランスを手動で調整して測定することに費やされていました。Furyion のリード開発者 Daniel McGuinness 氏によると、ゲームプレイや武器のクリエイティブな側面を磨くことにリソースを充てられるようになったということです。
「初めて Unity Game Simulation について耳にしたとき、私は新しい機能をゲームに追加するための作業ではなく、それを統合するのに貴重な開発時間を費やさねばならないか心配していました。なので、それを稼働させるのにどれほど簡単であるかがわかったときは、本当に興奮しました。というのも、私たちはすでに Unity の Remote Config を使っていたからです。」
武器システムのバランスを調整するために Unity Game Simulation を展開する以外に、Furyion はそれを使用してレベルデザインの問題を解決し、最適な難易度設定を見つけるのに役立てることを検討しています。Yung 氏はこのように述べています。「ある意味で、私たちは混乱を極めた暴力的なバトルに、スイス製の時計のように完璧なバランスとタイミングを持たせようとしていました。Unity と一緒にこのジャーニーに乗り出すことができて本当によかったです。」
『Death Carnival』は現在、クローズドベータテスト中です。同スタジオはすでに『Death Carnival 2』のほか、名称未定のモバイルタイトルも検討しています。詳細については、同スタジオのウェブサイトや Twitter でご確認いただけます。