懐かしいゲーム体験にトリップする

カスタムツール、迅速なテスト、分析が切り開く道

『Pixel Ripped』のケーススタディ:授業中に隠れて遊ぶほど熱中したレトロ風 2D ゲームを VR で

Ana Ribeiro さんはゲームデザインを学ぶため、2010 年に安定した公務員の仕事を辞め、すべてを売り払ってサン・ルイスからロンドンに渡りました。当時、彼女の家族や友人はその選択にとても驚きました。しかし最終的に Ribeiro さんは、有り余るほどの才能とエネルギー、そして楽観主義によって、自身の決断が正しかったことを証明したのです。彼女は現在、ARVORE Immersive Experiences と提携を結び、制作作業に取り組んでいます。彼女のゲーム『Pixel Ripped』は、リリース前にもかかわらず多くのファンと認知度を獲得し、賞も受賞しています。

  • ゲーム

    Pixel Ripped 1989。レトロな 2D ゲームとスリリングな VR ライドを組み合わせたゲーム

  • 目標

    楽しくも懐かしい 2D ゲームを最先端の VR 体験で再現

  • プラットフォーム
  • チームメンバー

    1 人。先日 Arvore スタジオ(14 人)とコラボレーション

  • 所在地

    ブラジル、サンパウロ

Ana Ribeiro, Founder, Project Manager, and Lead Developer at Pixel Ripped, talks about developing a hybrid 2D and VR game.

レトロな 2D ゲームとスリリングな VR ライド

Ana Ribeiro 氏は、自分が子供時代に「ゲームボーイ」で遊んだときのほのぼのとしたノスタルジックな感覚と、最新のバーチャルリアリティ(VR)技術に対するワクワク感とを組み合わせるというアイデアから、ゲーム内のゲームというビジョンを発想しました。しかし、VR 体験の中に 2D のレトロゲームを組み込むにあたっては、技術的な課題もありました。それらの課題をクリアするために彼女が使ったのが、Unity プラットフォームです。これより、製品の最終的な仕上げ作業や、フレームレートを維持するための作業が大幅に簡素化されたのです。

その成果は以下のとおりです。

  • 新しいデモテスト版を数週間で作成
  • アセットストアのツールを利用して、1 秒あたりのフレーム数(fps)を 20 フレーム増加
  • アセットストアのツールによって作業時間を数か月分節約
  • Unite Austin 2017 の「Made with Unity Showcase」で紹介される
  • ARVORE Immersive Experiences と提携
  • Amaze Festival の Best VR ゲーム、Indiecade 2015 など、複数の賞を受賞。また、Proto Awards で Most Innovative VR ゲームと Best Original Score にノミネート

新旧の世界が交錯し、融合するゲーム

椅子に座って VR ヘッドセットを装着し、1989 年にタイムトラベルする準備をしましょう。見回せば、あなたはもう高校時代に戻っています。ゲームの目標は、口うるさい先生に見つからずに、携帯型ゲームコンソールでステージをクリアすることです。

「私は『ロックマン』、『スーパーマリオ』、『テトリス』などのゲームをプレイして育ったのですが、VR 技術を使うことで、プレイヤーを過去にタイムトラベルさせ、当時のレトロなゲームが持つ温かみを、現代の人々にも感じてもらえるかどうかチャレンジしてみたかったんです。80 年代にタイムトラベルし、私の思い出と同じような感覚でゲームをプレイしてもらうことで、人々に笑顔を与え、懐かしさや楽しさを味わってもらいたいと思っていました」(Ribeiro 氏)。

Unity に出会い、一目ぼれした Ana

『Pixel Ripped』は、Ribeiro 氏がロンドンのフィルムスクール National Film and Television School(国立映画テレビ学校)に通っていた頃、最終学年のゲームデザインプロジェクトとして制作を開始したゲームです。しかし、研究を始めた当初はゲームエンジンを利用していませんでした。

「ゲーム制作を学び始めた頃は、すべてを一から作っていました。全部が手作りです。エンジンやカメラなど、すべてを一から作成しなければなりませんでした。それはまるで、ケーキを焼くためにキッチン全体を作らなければならないような気分でした。ですが私は、たった 1 つのケーキを焼くために、オーブンやポンプを作ったり、キッチンや壁を作りったりするのは嫌でした。一番好きな作業に専念したかったんです。それはすなわち、ゲームそのものの制作です。」

その後、初めて Unity のことを知ったとき、Ribeiro 氏は自分の目を疑ったと語っています。

「仲間の学生の中には『やれやれ、またコードを書かなきゃ』とぼやいている人もいましたが、私はそれを尻目に、とても興奮していました。『すべて準備されてるなんてすごい!』と思ったんです。すぐにカメラを配置して、選んだ物理演算をそのまま追加できるんですからね。それはまさに一目ぼれでした」(Ribeiro 氏)。

連動する即時のプロトタイピングとテスト

Ribeiro 氏が『Pixel Ripped』の開発に着手したとき、彼女の頭には、自分が若かった頃のゲーム体験へのノスタルジックな時間旅行という基本的なアイデアがありました。何が効果的で、どこに力を入れるべきかを確認するため、彼女は初期デモバージョンを仲間の学生たちに試してもらいました。

「Unity は本当に便利で、おかげでデモを短期間で組み立てられました。その後にデモで見つかった間違いや、プレイヤーに好まれない部分を修正することもできました。Unity はプロトタイプ作成にうってつけです。新しいバージョンを作るのに通常 1 週間もかかりません」

嫌われたボーイフレンド

テストを通じて Ribeiro 氏は 2 つの悟りを得ました。自分のゲームにある最悪の要素と最良の要素です。最初に気付いたのは、プレイヤーがあるキャラクターを完全に嫌っていることでした。好きではないという意味ではなく、純粋に嫌っているのです。Ribeiro 氏は、メインキャラクターのボーイフレンドを TV の前で踊らせたら面白いだろうと考えていました。

「現実世界でも TV でゲームをしていると誰かが画面の前を横切って邪魔をすることがあるし、それをゲームの中でやれば面白いだろうと思ったんです。でもプレイヤーは、これにものすごく腹を立てました。彼を痛めつけたいと思ったのです。40 人ほどいたテスターの全員が、この男の子を殺したがっていました」と Ribeiro 氏は言います。

そこで彼女はこのキャラクターは外して、デモの中でみんなの共感を得られた部分に力を入れることにしました。

「みんなが一番好きだと言っていたゲームの中のちょっとした要素があるのですが、当初は全然重要なものに思えませんでした。それは、メインキャラクターがコンソールから出てきて別のコンソールに飛び込むのを一人称視点で追いかけていく演出です」と Ribeiro 氏は言います。

「せいぜい 5 秒くらいの出来事で、それが終わると別のゲームに切り替わります。本当にちょっとした演出でしたが、全員が口を揃えて『ここがこのゲーム一番の売りになることは間違いない。キャラクターがゲームの中から飛び出してくる、この瞬間が』と言うのです」

2D と VR の融合をついに実現

この時点で、Ribeiro 氏は自分が再現しようとしている雰囲気を演出するための手がかりを得ていました。学校でゲームをプレイするときの楽しい感覚と、現代のテクノロジーをミックスする方法はつかめていたのです。少なくとも、ナラティブとゲームプレイについては問題ありませんでした。しかし、クリアしなければならない技術的な課題がまだ残っていたのです。

「最大の課題は、1 つのタイトル内に 2 つのゲーム世界が存在しているということでした。1 つは、『ロックマン』のような横スクロールアクションタイプの 2D ゲームです。その中に、個々のシーン、個々のグラフィックス、個々の音楽、サウンド、コードなど、さまざまな要素が含まれています。そしてもう 1 つは、80 年代の教室を再現した 3D 世界です。つまり、これら 2 つのゲーム世界と、VR のプログラミングが必要になるわけですから、製品版として十分な品質となるように fps を上げて、プレイヤーが VR 酔いをしないようにすることが、常に課題となったんです」(Ribeiro 氏)。

解決法は、ゲーム全体をチェックしながら細部を調整し、ゲームをできるだけ軽くすることでした。しかし、そのためには時間とリソース、そして適切なツールが必要です。これについて Ribeiro 氏は、Unity アセットストアがとても役に立ったと語っており、実際、fps を 20 以上も上げることができたと明かしています。

苦労から得た教訓:まずは Unity アセットストアをチェックする!

Ribeiro 氏がゲーム制作の経験を通じて学んだことの 1 つは、自分で何かを作成する前に、まず Unity アセットストアで目的に合ったツールを探してみた方がよいということです。このことを実感した経験として彼女が思い出すのは、まだ学校で仲間の生徒たちとこのプロジェクトに着手していたときの出来事です。

「皆でクリスマスツリーをモデル化しようとしていたときに、アセットストアで 5 ドルのツリーを見つけたんです。でも私たちは、モデリング作業も含めて、ゲームの 3D パーツをすべて自分たちで作成したいと思ったんです。このとき、もしストアでツリーを購入していたら、1 か月分の作業時間とストレスが省けただろうし、試行錯誤の苦労もなかっただろうと思います。このことは忘れられませんね」そう語る Ribeiro 氏は、さらに次のように述べています。

「今では、真っ先にアセットストアをチェックするようにしています。ゲームに必要なものが見つかれば、購入してすぐに使えるので、作業時間の短縮になります。とても便利です。ときには、無料のアセットが見つかることもあります。アセットストアのおかげで、少なくとも 3 か月分くらいは作業時間を短縮できていますね。」

80 年代の懐かしさと、未来にタイムトラベルする感覚をミックスした『Pixel Ripped』のユニークな世界観を演出するために、彼女はこれまでアセットストアのツールを数多く使用してきました。たとえば、ゲームの冒頭で過去の時代に遡る場面では、Shader Forge を使ってピクセレーションを生成しました。また、Skybox を使って約 300 ものイメージエフェクトを生成しました。さらに Ribeiro 氏は、ノスタルジックな雰囲気を出すためのアセットを見つけて、80 年代風のブルーカメラエフェクトも作りました。

作業を楽にしたもう 1 つの機能

Ribeiro 氏と彼女のコラボレーターが大量の時間を節約でき、苦労せずに済んだのは、Unity がマルチプラットフォーム対応だからでした。

「PlayStation、Oculus、PC など主要なプラットフォームは網羅したかったので、その場で調整できることがとてもありがたかったです。おかげでずいぶん負担が減りました」

プロジェクト当初から VR で作業を進めていた Ribeiro 氏は、VR テクノロジーの変化も、Unity によるそのサポート状況も把握していました。

「このゲームの開発中にすべてのヘッドセットが変更されましたが、現在すべてサポートされているので本当に、本当に助かります。なぜこんなことを言うのかというと、古き良き VR 黎明期には全部ダウンロードして、全部のプラグインを追加する必要があったからです。ゲーム内のすべてのカメラを 1 つ 1 つ変更しなければならなかったのを覚えています。今では、すべて統合されています。「Virtual Reality Support」のボックスをオンにしさえしておけば、後はデザインに専念できます」

Ana Ribeiro, Creator of Pixel Ripped 1989

「それはまさに一目ぼれでした。私はとても興奮しながら、こう思ったんです。『カメラの準備ができているなんてすごい!カメラを配置したら、後は物理演算を選んで追加するだけ。Unity 大好き』と」

Ana Ribeiro, Creator of Pixel Ripped 1989

Unity で 2D 制作を開始するには?

Unity を使用して 2D ゲームを開発する際には、作業を開始し、時間を節約して、最も大きな価値を得る手助けとなる情報とリソースが備わった、こちらの実践ガイドに従って進めてください。

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