Last Day on Earth:1 億 2500 万ドルのヒットを生み出した 62 日間

Kefir は賢明なゲームデザインと UA の決定において主導権を失いません。

Kefir:Unity 開発者のケーススタディ

2009 年、Kefir 社はボルゴグラードでロシアのソーシャルネットワーク向けゲームの制作を 5 人のチームで開始しました。モバイルアプリ向けの新技術と市場を活用することで、スタジオは 165 人に成長し、ゾンビからのサバイバルゲーム『Last Day on Earth』(LDOE)が大ヒットし有名になりました。これまでに、LDOE のダウンロード数は 8,300 万件にも達し、1 日のアクティブユーザー(DAU)は 100 万人、 総売上は 1 億 2,500 万ドルを超えています。同社のゲームはすべて、Unity を活用しています。

  • プロジェクト

    ジャンルをモバイルに、 マルチプレイヤー機能を追加、ゲームプレイの幅を広げる

  • 目標

    プロダクションの加速とパフォーマンスの最適化 ​​​​​​

  • プラットフォーム
  • プロジェクトのスタッフ

    27 人のアーティストとデザイナ、および 23 人のソフトウェアおよび QA エンジニア

  • 企業情報

    ロシアのサンクトペテルブルグおよびボルゴグラードに 165 人以上

    本社:ロシア、ボルゴグラード

このモバイルゲームのデザインと UA において賢明な意思決定を下すことが 1 億 2,500 万ドルを生み出す

Kefir は、サバイバルゲームが溢れかえるマーケットで自社を目立たせるための方法を模索し、3 つの野心的なタスクに注力することにしました。1 つ目は、このジャンルをネイティブにモバイル対応化すること、2 つ目は、マルチプレイヤー向けの機能とコミュニティを開発すること、そして 3 つ目は、比較的複雑なゲームプレイにも対応できるシンプルな UI を構築することです。

「私たちは、説明の要らない直観的なリソースを作成するよう心掛けています。画面に表示されるボタンや、設定、指示の数を意図的に減らしているんです」(Kefir 社アートディレクター、Petr Kostylev 氏)。ただし、説明を欲しがるプレイヤーもいるということは彼も理解しています。「我々はチュートリアルが心底嫌いなんです」と冗談交じりに語りながらも、説明を好むプレイヤーのために、一定度の説明を提供することは約束しています。

ところで、Unity はどのような面で LDOE に適しているのでしょうか?まず、Kefir では Unity を使用してゲームアーキテクチャーとコーディングタスクを迅速化し、最適化しました。Kefir のアーティストたちは、ヒューマノイドアバター、インバースキネマティクス、およびパーティクルシステムの作成に Unity を使用しています。一方ビジネスチームでは、ユーザー獲得(UA)戦略や広告掲載戦略を通じて新規プレイヤーを呼び込み、収益の拡大を維持するためのより簡単かつ効果的な手段として、Unity を活用しています。Kefir では、Unity のソリューションを LDOE に幅広く活用しているのです。

その成果は以下のとおりです。

  • 大ヒットタイトルである LDOE をわずか 62 日でソフトローンチ
  • 高度な専門チームが複数の Unity モジュールを並行して作業することで、各種のゲームメカニクスに対応
  • Unity Ads、Unity IAP、Audience Pinpointer を活用して、収益化とマーケティング戦略を強化
  • Unity メモリプロファイラーを使用して、あらゆるデバイスに対応したスムーズなゲームプレイ体験を実現

ビルドする前にデザイン

LDOE のスムーズなゲームプレイは、多くのゲームレビューアに評価されています。これを実現するために、Kefir はさまざまなテクニックを活用しています。メッシュを結合してドローコールの数を最適化したり、アトラスの数を最小限に減らして UI を簡素化するなどといった工夫です。

テクニカルリードの Roman Romanenko 氏は次のように述べています。「一番重要なのは、開発の初期段階でプロジェクトアーキテクチャーを効果的に構築することです。たとえば、私たちは基本的なデザインパターンを使ってインベントリシステムと建物のメカニクスを解決しました。」

さらに時間を短縮するために、Kefir の開発者たちはカスタムの「結合スプライト」コンポーネントを使用して、複数のスプライトを同時に描画しました。また、可能な箇所では固定のプールからオブジェクトを再利用し、インスタンス化されるオブジェクトの数を最小限に減らすとともに、デバイス設定に基づくユーザーグラフィックの自動設定を有効化しました。さらに、Unity メモリプロファイラーも重要な役割を果たしました。ゲームの各要素がデバイスメモリに与える影響をこのツールで測定することにより、すべての Android デバイスと iOS デバイスで最適なパフォーマンスが維持されるかどうかを定期的に確認したのです。

広範なゲームコミュニティの育成

Kefir の評判はゲーム以外も素晴らしく、ブログや業界イベントでの開かれた姿勢と競合他社の強みを素直に認め、ゲームのトレンドに関するコメントでさらに高まっています。「真のゲーム開発者/デザイナに必要なのは、どこが作ったものであれ最高のゲームを理解し、研究し、プレイすることです。」と Kostylev 氏は語ります。

この姿勢がスタートアップから実績のあるスタジオまで、全員に重要であると感じています。「他社のゲームをプレイしているときに今までにない感覚に気づいたら、創造性が大いに刺激され、新鮮なアイデアがどんどん生まれます。」

Kostylev 氏がさらに指摘する重要性は、他でうまくいったゲーム要素をエミュレートするだけではないということです。「それだけでは何も生み出しません。独自の個性に注目する必要があります。Unity が貴重である理由の一つは、自分たちを表現し、新しい内容に挑戦するのが簡単だからです。」

プレイヤーベースと売上の拡大

ゲームの制作作業だけでなく、Kefir では広告とアプリ内課金(IAP)を通じてゲームをマネタイズしたり、UA 戦略によってプレイヤー数を増やしたりするために、Unity を活用しています。Kefir では、Unity Ads を使用して広告をゲーム内に統合する一方、インプレッションの表示頻度を適切に調整して、ゲームの世界観への影響を最小限に減らすようにしています。同社が特に評価している Unity Ads のメリットは、Android 環境での外部コールを最小限に減らせるという点です。ただし、LDOE の収益の大部分は IAP によるものです。Kefir のマーケティング担当ヘッドである Andrey Kulakov 氏は次のように述べています。「広告はゲームの収益の 5 パーセント程度になるよう設計しています。弊社では、ゲーム自体と IAP を優先するようにしているんです。Unity IAP なら、これをきわめて簡単に実現できます。」

Kefir では、UA を専門とし、主にパフォーマンスマーケティングに注力する小規模な社内チームを配置しています。「私たちは最近、Unity Ads を使った UA 戦略の一環として、Unity Audience Pinpointer によるキャンペーンを開始しました。これは、広告費用対効果(ROAS)の目標達成に役立っているだけでなく、キャンペーンの範囲を調整したり、規模を拡大したりするうえでも役立っています。ユーザー獲得予算も、その多くをこのキャンペーンに振り替える予定です」(Kulakov 氏)。

ただし、彼は次のように付け加えています。「弊社のゲームがチャートで上位にランクされた直接的な要因は、私たちがゲームに注ぎ込んだ作業と情熱です。それこそが、考えうる究極の UA 戦略だと我々は考えます。」

Last Day on Earth の先へ

LDOE がヒットし、数百万人のプレイヤーが悪夢のような世界でゾンビと戦うようになると、今度は Kefir の別のチームがタイトルの舞台を過去へと移し、『Grim Soul: Survival』を生み出しました。これは中世を舞台にしたダークファンタジーで、雰囲気ある中世の武器や道具を手に、さまざまな城やダンジョンの中で戦うゲームです。

さて、これらのタイトルで大きな成功を立て続けに収めた今、Kefir はどのような未来へ向かおうとしているのでしょうか?Unity に関して Romanenko 氏が語っているのは、LDOE チームでスクリプタブルレンダーパイプライン(SRP)を使用して、シェーダーシステムを細かくコントロールできるようにしたいということです。「Cinemachine(プロシージャルカメラシステム)も導入する予定です。大きな効果が期待できると考えています。Unity は、『Last Day on Earth』を制作してローンチするうえで、重要な鍵となりました。そして同タイトルは当スタジオのこれまでで最も成功を収めているタイトルです。今後も、私たちの新しいプロジェクトはいつものように型破りであり続けます!」

Roman Romanenko, Technical Lead, Kefir

「Unity は Last Day on Earth の構築とリリースのキーになりました。これは現時点で自社で最高に成功したゲームです。将来については、新プロジェクトはいつも通り挑戦的です。」

Roman Romanenko, Technical Lead, Kefir
Andrey Kulakov, Head of Marketing, Kefir

「私たちは最近、Unity Ads を使った UA 戦略の一環として、Unity Audience Pinpointer によるキャンペーンを開始しました。これは、広告費用対効果(ROAS)の目標達成に役立っているだけでなく、キャンペーンの範囲を調整したり、規模を拡大したりするうえでも役立っています。ユーザー獲得予算も、その多くをこのキャンペーンに振り替える予定です。」

Andrey Kulakov, Head of Marketing, Kefir
Andrey Kulakov, Head of Marketing, Kefir

「広告はゲームの収益の 5 パーセント程度になるよう設計しています。弊社では、ゲーム自体とアプリ内課金を優先するようにしているんです。Unity IAP なら、これをきわめて簡単に実現できます。」

Andrey Kulakov, Head of Marketing, Kefir
Petr Kostylev, Art Director, Kefir

「真のゲーム開発者/デザイナに必要なのは、どこが作ったものであれ最高のゲームを理解し、研究し、プレイすることです。」

Petr Kostylev, Art Director, Kefir
62 日のゲームプラン

ここではさらに Kefir がモバイルで最も有名なサバイバルゲームを作成し、2 か月ほどでソフトローンチした方法について考察します。まず手始めに、同スタジオは『Last Day on Earth』を制作するツールとして Unity を選択しました。それは、同スタジオのアジャイル開発環境に最も適していたからでした。

ただ UX を理解する

開発中、異なるチームがゲームの主要領域に注力します。ゲームメカニズム、持ち物メニューとトラベルマップなどのイテレーションと仕上げ、モバイルへの適用がうまく機能するまでの準備があります。複雑なメカニズムがプレイヤーにわかりやすく確実に表示されることに考え抜かれた戦略で注力します。多くの人気を獲得した UI をベースに、成功を収めました。

Unity ヒントとテクニックの共有

「Unity をニーズにあわせてカスタマイズするために多くのことを実施しました。例えば、描画コール数を最適化するためメッシュを結合し、アトラス数が最小になるように UI を簡素化、同時に複数を描画するための統合スプライト(カスタムコンポーネント)などがあります。同様に、可能な場合は Memory Profiler やオブジェクトプーリングを使用し、インスタンス化を最小にするためコンテンツ管理プロセスもセットアップします。最後に、ユーザーグラフィックを設定して、各デバイスに最適化します。」 – Kefir のテクニカルリーダー、Roman Romanenko 氏

ゲーマーを第一に考える

ゲームトーナメントに参加し、ローカルゲーミングコミュニティを育成することは Kefir の文化の大きな部分です。スタジオはゲーミングに注力しているので、その情熱と深いエクスペリエンスは最終的に新製品の機能のアイデアに変わります。

ビッグなリリース日

2017 年 5 月のリリースから、Last Day on Earth は 1 日のプレイヤーが 100 万に達し、8300 万ダウンロードにより 1 億 2500 万ドルを稼ぎ出しています。このゲームは、リリース以来、Google Play および AppStore の売上トップ 150 ゲームチャートに入っています。

Kefir ゲームでの生活 . . . ドラゴンを倒していく

Last Day on Earth のようなトップ F2P タイトルでの作業はストレスが多いものです。並行して Kefir の各チームはライブのインゲームイベントをオーケストレーションし、ローカルコミュニティに関与し、UA 戦略に磨きをかけ、次の機能満載のアップデートを準備します。スタッフのストレスを発散させるために、テーマパーティ、旅行、専門能力の開発などのアクティビティを用意しています。

さらに一部の MMO ゲーム内と同様に、 Kefir の 100 人以上の情熱的なスタッフは一定の企業目標を達成すると 「dragon kill points」(DKP)を獲得します。金銭以外のボーナスとして、DKP は最新のガジェット、カメラ、ギフトカード、旅行などのオークションで使用できます。

 

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