モバイルゲームで D2C ウェブショップを構築する方法
Daniel Godley - Unity
Senior Content Marketing Manager
モバイルゲームのウェブショップは、開発者がウェブ経由でプレイヤーにゲーム内アイテムを直接販売できる、消費者向け (D2C) のオンラインストアです。Unity IAP 5.4 では、D2C サポートが追加され、既存の IAP 設定と併用して、プラットフォーム外でプレイヤーに直接販売できるようになりました。Unity がホスティングする無料のウェブショップでも利用できます。
ウェブショップのビジネスケースは非常に魅力的になり得ます が、しっかりと作り込まれている場合に限ります。ゲームとの一体感がない、価値提案が分かりにくい、またはプレイヤーが再び訪れる理由を提供できないストアは、利益率を高められる余地があっても期待通りの成果は得られません。ウェブショップが成功するかどうかは、構築段階で下すいくつかの重要な判断にかかっています。このガイドでは、それらの判断を正しく行う方法を解説します。
このガイドの重要ポイント
- 検索性を意識した設計を行う。一部のスタジオは、プレイヤーがゲーム内購入の習慣を身につける前に課金を促すことを懸念し、ウェブショップをあえて目立たない場所に置くことがあります。しかし、ストアの存在を知らないプレイヤーは購入することができません。プレイヤーが実際に見つけられる場所にエントリーポイントを設け、価値を明確に伝えましょう。ウェブショップがより優遇されているとプレイヤー自身で気づかなければならない場合、すでに機会を逃しているかもしれません。
- 親しみやすさで信頼を築く。プレイヤーは、慣れ親しんだ環境を離れて購入を行います。ゲームの色合い、アセット、UI パターンを忠実に再現しましょう。遷移時に別の製品のような印象を与えてしまうと、課金ユーザーを失い、信頼を損なう可能性があります。
- まずは絞った商品構成から始める。シンプルなカタログから始めましょう。まずはハード通貨、その後に価値の高いバンドルをいくつか提供しましょう。プレイヤーがウェブショップに慣れていない場合でも、価値提案が明確ですっきりしたカタログは、より高いコンバージョンにつながります。
- 限定商品で、訪れたくなるウェブショップを作る。割引はプレイヤーにウェブショップで購入する理由を与え、限定商品は再訪する動機になります。
- 再訪を習慣化させる。デイリー報酬やロイヤルティポイント、ミッションなどでプレイヤーの再訪を促しましょう。初回購入者をリピーターに育てることが目標です。
1. 検索性を最優先にする
ウェブでの購入方法をアプリ内課金と比べてどれだけ促進するか、優遇価格を宣伝できるかは、ストアごとに異なるプラットフォームルールで決まっており、常に変化しています。そのルールは市場によって規制の厳しさが異なり、現在も訴訟の対象となっています。ウェブショップとターゲット市場に関連するポリシーを事前に確認しましょう。
エントリーポイントについては、多くのゲームのウェブショップがアプリケーション内に埋もれており、検索性が課題となっています。その理由は理解できます。プレイヤーにアプリケーションを離れてトランザクションを完了させることがユーザーの負担を増やし、コンバージョン率に悪影響を及ぼすと懸念する開発者もいます。この考え方は、特に IAP 習慣がまだないプレイヤーに対しては妥当ですが、検索性とは相反しています。
そして、プレイヤーがウェブショップを見つけられない、または存在を知らなければ、そこで購入することはできません。ウェブショップを簡単に見つけられるようにし、別のチャンネルとして位置付ける方が効果的です。ウェブショップを訪問する手間を、明確なメリットの提示やインセンティブの提供で相殺しましょう。
プレイヤーがどちらでトランザクションを完了するかを選択できることを明示し、それぞれのメリットとデメリットを理解できるようにしましょう。IAP ならすぐに購入できますが、ウェブショップの方が安価なことが多く、限定商品も提供されています。
実践方法:
- ウェブショップを目立つ形で表示し、見つけやすくします。プレイヤーがどちらでトランザクションを完了するか選べることを明示します。
- ウェブショップで購入を完了する場合、割引やバンドルなどのインセンティブを提供します。ページの最上部に購入上の利点を伝えるメッセージを配置し、カタログより先に、ウェブで購入するとより多くの価値が得られることを伝え、効用を明確に伝えます。アプリケーションを離れる手間と、ウェブショップでトランザクションを完了することで得られる付加価値のバランスを取ることが目標です。

2. ゲームのビジュアルアイデンティティとブランドに合わせる
アプリケーションからブラウザーへの遷移は、プレイヤーにとって負担になり得ます。プレイヤーは、視覚的体験が変化し、App Store や Google Play 以外のサイトで決済情報の入力を求められると、すぐに違和感を覚えます。この瞬間、信頼が非常に重要になります。体験が見慣れないものだったり、品質が低いと感じられたりするほど、プレイヤーは離脱しやすくなります。
優れたウェブショップは、ゲーム内のルックアンドフィールを忠実に再現することで、こうした負担を最小限に抑えています。カラーパレット、キャラクターアート、アイコン、UI パターンなど、すべてを統一しましょう。ウェブショップはゲームの自然な延長として感じられることが理想であり、別製品のように見せないことが重要です。
実践方法:
- ゲームのカラーパレットを、背景やボタン、ヘッダー、カードなどすべてに適用します。
- ゲーム内ストアで使用されているキャラクターアートやヒーロー画像、アイコンをエクスポートし、同じアセットをウェブショップでも使うことで親しみやすさを演出できます。
- ゲーム内の UI パターンを踏襲します。例えば、ゲームで特定の枠線スタイルを持つ角丸カードを使っている場合、ストアのレイアウトでもそれを再現します。
- ゲームのデフォルトの向きを確認します。ゲームがモバイルで横向きの場合、ウェブショップも横向きで表示されるようにします。こうした細部まで一貫性を保つことが、シームレスな体験につながります。

3. ウェブショップのカタログは、まずゲームの主要アイテムから開始する
ゲーム内で売れているものが、必ずしもウェブショップで同じとは限りません。ウェブショップで最初に打ち出す商品として最も分かりやすいのは、ハード通貨です。シンプルで汎用性が高く、割引もしやすいためです。付加価値の高いバンドルも、ウェブショップで最初または次に提供する商品として効果的です。初期のカタログは絞り込みましょう。すっきりしたストアの方が、コンバージョン率が高くなります。
初日から加えておきたいのが、プレイヤーが購入したくなる低価格のエントリー商品やスターターパックです。プレイヤーは App Store や Google Play 以外のサイトに決済情報を入力するため、最初は、少額の購入で試したいという人が多いかもしれません。
実践方法:
- ハード通貨パックやバンドルから始めます。初日はゲーム内ストアをそのまま再現するのは避けます。
- バンドルを加える場合は、魅力が明白な、付加価値の高いものを 2 つあるいは 3 つ厳選します。
- 初めて購入する人が安価にストアを試せるよう、低価格アイテムを少なくとも 1 つは用意します。
- SKU の並び順を工夫します。価格が最も優遇されているアイテムは、視線が最初に届く位置 (通常は左上や上部中央) に置きます。
4. ウェブショップ限定アイテムを提供する
価格だけでは行動を変える動機として十分ではありません。初期のシンプルなラインナップが揃ったら、ウェブショップ限定アイテムの検討を始めましょう。ウェブショップ限定アイテムはプレイヤーにとって、単に安く購入できる場所という以上の訪問の理由となり、ウェブショップ自体を訪れる目的になります。コスメティックや期間限定コンテンツ、限定バンドルなどは今すぐ購入する動機を生み、コミュニティで共有したくなる話題にもなります。
実践方法:
- コスメティックやキャラクタースキン、限定バンドルなど、ゲーム内ストアで販売しない 1 点あるいは 2 点のアイテムを選びます。
- それらにはウェブショップ限定と明記します。限定オファーであることが最大の魅力なので、他では入手できないことをプレイヤーにしっかり伝えます。
- 限定オファーは、可能な限り販売期間を限定します。"日曜日まで販売" などの期間限定である表記の方が、"いつでも購入可能" という表記よりもコンバージョン率が高くなります。
- 限定オファーは Discord や SNS、メールなどのコミュニティチャンネルで共有します。プレイヤーは、他のプレイヤーが入手できないかもしれない限定アイテムを入手できると感じると、購入などの行動を起こしやすい傾向があります。

5. プレイヤーリテンションの仕組みを活用して、ウェブショップ利用を習慣化する
プレイヤーの初回ウェブショップ訪問は、D2C チャンネルとの関係構築の第一歩です。相応の売上を生み出すストアは、プレイヤーが定期的に訪れる、理想的には習慣化されている場合が多いです。初回購入者をリピーターに育てることが目標です。
実践方法:
- ウェブショップ限定で受け取れる無料のデイリー報酬を追加します。価値が高い必要はありません。少量の通貨パックや消費型アイテムでも十分です。ウェブショップに戻る習慣を身につけてもらうことが目的です。
- デイリー報酬は、連続して受け取るほど少しずつ豪華になるようにします。これはゲームへ毎日ログインするよう促す仕組みと同じです。
- 繰り返し行動を促すインセンティブを活用して、習慣化します。例えば、購入ごとにポイントが貯まりゲーム内報酬と交換できるロイヤリティポイント制度や、3 日連続でストアにアクセスといった簡単なミッション達成で報酬を得られる仕組みなどがあります。これらはプレイヤーにストアの仕組みや利用方法を理解してもらいつつ、再訪する理由も与えます。
- 初回訪問時には、ウェブショップをホーム画面に追加するようプロンプトを表示しましょう。これにより簡単に再訪が可能になり、ウェブショップが自然にデバイスやゲーム体験の一部となります。
- ウェブショップをゲームのコミュニティハブとして活用しましょう。ゲームならではの更新情報やコミュニティ機能、ガイドなど、プレイヤーが何度も訪れたくなる空間を作ります。これは長期的な目標で時間や労力などの投資が必要ですが、より多くのアクセスとプレイヤー体験の向上が期待できます。
Unity でウェブショップを構築する
このガイドで紹介する方法は、最初から組み込むことで最大限の効果を発揮します。Unity のウェブショップソリューションは、こうした点を考慮して設計されています。ウェブ専用の価格設定や、元の価格を取り消し線で表示する機能、セール、ボーナス、限定プロモーションバッジなど、プレイヤーが価値をひと目でわかる仕組みが標準で搭載されています。
初期設定の段階で、ゲームとの一貫性を確保できます。AI によるウェブショップデザイン機能では、既存の App Store や Google Play のリスト、スクリーンショット、アップロードしたアートをもとに、ゲームのビジュアルアイデンティティに合ったストアを自動生成します。これにより、アプリケーションからブラウザーへの遷移も違和感なく体験できます。
すでに Unity IAP を利用している場合は、ウェブショップの追加インテグレーションは必要ありません。Unity IAP ユーザーの場合、既存のカタログがそのまま Unity ウェブショップで利用され、同じ SDK とダッシュボードを使います。まずハード通貨から始め、準備ができたらバンドルを追加し、プレイヤーが再訪する理由となるアイテムはウェブ限定にしておきましょう。これらはすべて同じ場所から管理できます。
さらに、サードパーティの決済プロバイダーが設定する決済手数料を除き、Unity はウェブショップの作成や運用に手数料を請求しません。特定の決済パートナーに縛られることはなく、プロバイダーの切り替え時もカタログやインテグレーションを変更する必要はありません。目指しているのは、構築にかかる手間やコストをできる限り軽減し、コンバージョンを促進するための意思決定や、より良いプレイヤー体験を提供することに集中できるようにすることです。